大変興味があります。
耳小骨の役割のまじめな話。実は知らないことばっかりでした。
脊椎動物が水中にいる間は、外部の振動を内耳に伝えることはそうたいした問題ではなかった。空気の千倍の密度の媒体を伝わってきた振動は特別な伝達装置など無くともたやすく内耳に到達できたのである。魚類の中の一派が両生類となって陸上に進出したときに、空気という水とは比べ物にならないくらい希薄な物質の振動を受信する問題が起こった。これを解決したのが空気の振動を受け止めるための特別な膜状構造である鼓膜と、その振動を直接内耳に伝える鐙骨である。
鐙骨の元となった舌顎骨は、魚類においてまだ頭蓋と別の構造だった上顎下顎構造(第3鰓弓)を頭蓋に繋ぎ止める働きを持っていた第4鰓弓に由来する骨格構造であった。その後、皮骨性骨格要素によって上顎と頭蓋が固着し、下顎も靱帯と顎関節により上顎としっかり結びつくようになり、顎の支持という役割は小さくなった。そしてちょうど頭蓋の耳領域と顎の方形骨とをつないでいた舌顎骨が、内耳と鼓膜とを結びつける役割を果たすようになったと考えられている。
次の大々的な変化は爬虫類の単弓類から哺乳類が進化するときに起こった。本来、上下顎間の関節は、上顎が方形骨、下顎が関節骨からなっていた。しかし単弓類では方形骨と関節骨が縮小し、頭蓋骨からは鱗状骨(squamosal)、下顎からは歯骨(dentary)が関節面に接するようになり、本来の方形骨-関節骨関節の外側同軸に鱗状骨-歯骨関節を形成するようになった。元々単弓類の盤竜類では聴覚があまり発達していなかったらしく、鐙骨は大きく頑丈で、現在のヘビ・ムカシトカゲや祖先の魚類のように方形骨に直接接続していた。そして盤竜類が獣弓類に進化し、両生類や原始的爬虫類では背面近くにあった鼓膜を顎関節付近に移動(もしくは再獲得)させて再度聴覚を発達させる過程において、顎関節という役割をほぼ鱗状骨-歯骨に譲っていた方形骨と関節骨のお互いの関節を維持したまま、あらためて砧骨と槌骨として耳小骨に取り込んだのが哺乳類であると考えられている。つまり盤竜類で行っていた下顎からの振動伝達システムを踏襲して、関節骨-方形骨-鐙骨という伝達経路を引き継いだのが槌骨-砧骨-鐙骨であり、砧骨-槌骨間の関節は爬虫類段階での方形骨-関節骨関節と相同なのである。時に「爬虫類の顎関節は哺乳類の耳に取り込まれた」というような表現がなされるのはこの為である。
引用『ウィキペディア(Wikipedia)』
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